
ようこそ!サルボルトだよ
今回は、電場(でんば)と電位(でんい)について勉強しよう。
電磁気(でんじき)の分野で、み〜んなが最初に「???」ってなる、最重要単語の2トップだ。
「電場」も「電位」も、目に見えない。だからイメージが湧かなくて、
「\(E = F/q\) と \(V = U/q\) … どっちがどっち?」
「\(E = kQ/r^2\) と \(V = kQ/r\) … なんで片方は2乗で、片方は1乗なの?」
「\(V = Ed\) って公式もあって、もうワケわからん!」
…って、公式アレルギーになっちゃうんだよね。
大丈夫。この2つの単語は、「重力」の世界のアナロジー(仲間さがし)で考えると、一発で理解できる。
この記事では、「電場=重力(\(g\))の仲間」「電位=高さ(\(h\))の仲間」という視点で、あの公式たち(\(kQ/r^2\) や \(kQ/r\) や \(V=Ed\))がナゼああなるのか、全部じ〜〜っくり解説するよ!
すべての始まり:クーロンの法則
まず、電気の世界の大ボスを紹介しよう。
中学校で習ったよね。(+)と(+)は反発し、(+)と(ー)は引き合う。
この、「電気を持った(帯電した)モノどうしが及ぼしあう力」のことを「静電気力(せいでんきりょく)」(またはクーロン力)と呼ぶ。
フランスの科学者クーロンさんは、この力の大きさをメチャクチャ精密に測って、一つの法則を見つけたんだ。
「2つの電気量 \(q_1\) [C] と \(q_2\) [C] が、距離 \(r\) [m] だけ離れているとき、お互いに及ぼす力 \(F\) [N] の大きさは、」
$$F = k\frac{|q_1 q_2|}{r^2}$$
(\(k\)は比例定数で、\(k \fallingdotseq 9.0 \times 10^9\) というデカい数)
これが「クーロンの法則」だ。
…ん?この式、どこかで見たことないか?
そう、万有引力の法則 \(F = G\frac{Mm}{r^2}\) と、形がウリ二つなんだ!
どっちも「距離の2乗に反比例する力」だ。電気の世界も、重力の世界も、似たようなルールでできているみたいだね。
「電場」は「重力加速度 g」の仲間
さて、ここからが本番だ。
クーロンの法則 \(F = k\frac{q_1 q_2}{r^2}\) は、2つの電荷が「ペア」でいないと計算できない。これじゃ、ちょっと不便だ。
例えば、ここに(+)の大きな電荷 \(+Q\) が、ドーンと置いてあるとしよう。
「もし、ここに別の電荷 \(+q\) を持ってきたら、\(+q\) は力を受けるだろうな」
「もし、ここに \(+2q\) を持ってきたら、力は2倍になるだろうな」
じゃあ、「試しに、+1 [C] の電荷を置いてみたら、どれだけの力を受けるか?」を計算しておけば、便利じゃないか?
だって、もし「+1Cあたり、10Nの力を受ける」場所だとわかれば、
「じゃあ、+3Cを置いたら、10×3 = 30Nの力を受けるね」
「-2Cを置いたら、10×(-2) = -20Nの力(逆向きに20N)を受けるね」
って、瞬時に計算できるからだ。
この、「その場所に、+1 [C] の”テスト電荷”を置いたときに受ける力」のことを、「電場(でんば)」(または電界)と呼び、\(E\) [N/C] という記号で表すんだ。
$$E = \frac{F}{q}$$
(ある場所で \(q\) [C] が \(F\) [N] の力を受けた \(\to\) 電場 \(E\) は \(F/q\) [N/C])
(この式を変形した \(F=qE\) も超大事だ。力 \(F\) = その場の電気量 \(q\) × その場の電場 \(E\) 。)

ピンと来ない?
じゃあ、「重力」で考えてみよう。
地球の表面では、質量 \(m\) [kg] の物体は、\(F = mg\) [N] の重力を受けるよね。
じゃあ、「試しに、1 [kg] の物体を置いてみたら、どれだけの重力を受けるか?」
答えは \(g\) [N] だ。(\(g \fallingdotseq 9.8\) [N/kg])
この \(g\)(重力加速度)こそが、重力の世界の「電場」に相当するものなんだ!
アナロジー(仲間さがし)
重力の世界: 力 \(F = mg\)
. \(\to\) 1kgあたりの力: \(g = F/m\) (重力加速度)
電気の世界: 力 \(F = qE\)
. \(\to\) 1Cあたりの力: \(E = F/q\) (電場)
「電場 \(E\)」とは、電荷 \(+Q\) が、自分の周りに作っている「空間の”ゆがみ”」みたいなものだ。
その「ゆがみ(電場)」に、別の電荷 \(q\) が入ってくると、\(F = qE\) という力を受ける、という仕組みなんだね。
「電位」は「高さ」の仲間
さあ、もう一つのボス、「電位 \(V\)」だ。
電場が「力(ベクトル)」のアナロジーだったから、電位は「エネルギー(スカラー)」のアナロジーだと予想できる。
「重力」の世界で、「位置エネルギー」ってのがあったよね。
質量 \(m\) [kg] の物体を、基準の高さから \(h\) [m] だけ持ち上げると、物体は \(U = mgh\) [J] の位置エネルギーを蓄える。
電気の世界でも同じだ。
電場 \(E\) がある場所(重力 \(g\) がある場所、みたいな)で、電荷 \(+q\) を、電場に逆らって(坂道を登るみたいに)運ぶと、電荷は「電気的な位置エネルギー \(U\)」を蓄えるんだ。
でも、この「位置エネルギー \(U\)」も、\(q\) の大きさに比例しちゃうから不便だ。
「+1Cあたり、10Jの位置エネルギーを持つ」場所だとわかれば、
「じゃあ、+3Cを置いたら、10×3 = 30Jだね」
「-2Cを置いたら、10×(-2) = -20Jだね」
って、瞬時に計算できる。
この、「その場所に、+1 [C] の”テスト電荷”を置いたときに持つ、電気的な位置エネルギー」のことを、「電位(でんい)」と呼び、\(V\) [J/C] という記号で表すんだ。
([J/C] のことを、特別に [V](ボルト)と呼ぶことに決めたんだ。そう、あの「電圧」のボルトだ!「電圧」っていうのは、本当は「電位の”差”(電気的な”高さ”の”差”)」のことなんだね)
$$V = \frac{U}{q}$$
(ある場所で \(q\) [C] が \(U\) [J] の位置エネルギーを持った \(\to\) 電位 \(V\) は \(U/q\) [J/C])
(この式を変形した \(U=qV\) も超大事だ。位置エネルギー \(U\) = その場の電気量 \(q\) × その場の電位 \(V\) 。)

「重力」のアナロジー、もう一回!
質量 \(m\) [kg] の物体が、高さ \(h\) [m] で持つ位置エネルギーは \(U = mgh\)。
じゃあ、「試しに、1 [kg] の物体を置いたら、どれだけの位置エネルギーを持つか?」
答えは \(gh\) [J/kg] だ。
この「1kgあたりの位置エネルギー \(gh\)」こそが、重力の世界の「電位」に相当するものなんだ!
「電位」は「高さ」みたいなもんだって、わかった?
アナロジー(仲間さがし)
重力の世界: 位置エネルギー \(U = m(gh)\)
\(\to\) 1kgあたりの位置エネルギー: \(gh = U/m\) (重力ポテンシャル)
電気の世界: 位置エネルギー \(U = qV\)
\(\to\) 1Cあたりの位置エネルギー: \(V = U/q\) (電位)
「電位 \(V\)」とは、「電気的な”高さ”」のようなものだ。
水が高いところから低いところへ流れるように、(+)の電荷は、「電位が高い」ところから「電位が低い」ところへ流れていくんだ。((ー)の電荷(電子)はその逆だね)
公式の導出(\(E = kQ/r^2\) と \(V = kQ/r\))
さあ、いよいよあの「2乗」と「1乗」のナゾを解こう。
「\(+Q\) [C] の電荷(親玉)が、距離 \(r\) [m] 離れた場所に作る”電場 \(E\)”」を計算しよう。
電場 \(E\) の定義は?
そう、「+1Cのテスト電荷を、そこに置いたときに受ける力」だ。
クーロンの法則 \(F = k\frac{|q_1 q_2|}{r^2}\) を使おう。
\(q_1 = +Q\)(親玉)、\(q_2 = +1\)(テスト電荷)を代入すれば、その力 \(F\) が、そのまま電場 \(E\) になる!
$$E = F = k\frac{|(+Q) \times (+1)|}{r^2} = k\frac{Q}{r^2}$$
ほら!電場 \(E\) の公式、一瞬で導けた!
電場は「力」の仲間だから、「力」の公式(クーロンの法則)と”同じ形”(\(r^2\)に反比例)になるんだ。
次は、「\(+Q\) [C] の電荷が、距離 \(r\) [m] 離れた場所に作る”電位 \(V\)”」だ。
電位 \(V\) の定義は?
そう、「+1Cのテスト電荷を、そこ(距離r)に”持ってきた”ときに持つ、位置エネルギー」だ。
「位置エネルギー \(U\)」は、「(力 \(F\))×(逆らって運んだ距離 \(r\))」で計算できたよね。(本当は積分だけど)
電位 \(V\) は、+1Cを運ぶときのエネルギーだから、運ぶ力は「電場 \(E\)」だ。
$$V = (\text{力}) \times (\text{距離}) \approx E \times r$$
(本当は、\(E\) は場所によって \(kQ/r^2\) と変わるから、単純な掛け算じゃダメで、積分 \(\int E dr\) が必要なんだけど、)
ざっくりと、「\(E\)(\(r^2\)に反比例)」に「\(r\)(\(r^1\)に比例)」を1回かけるから、
$$V \propto \frac{1}{r^2} \times r^1 = \frac{1}{r^1}$$
となって、「\(r\)(\(r^1\)に反比例」になるんだ!(詳しくは「強者向け」で)
(積分した結果、電位 \(V\) の公式はこうなる)
$$V = k\frac{Q}{r}$$
ほら!電位 \(V\) の公式も導けた!
電位は「エネルギー(力×距離)」の仲間だから、「力」の公式(\(1/r^2\))に「距離(\(r\))」が1回かかって、\(1/r\) になるんだ。
公式の導出(\(V = Ed\))
最後は、コンデンサーなんかでよく見る「一様な電場」の公式だ。
(+)の板と(ー)の板を向かい合わせに置くと、その間には、まっすぐで、どこでも強さが同じ「一様な電場 \(E\)」ができる。
この「一様な電場 \(E\)」の中で、電場に逆らって「距離 \(d\)」だけ、電荷 \(+q\) を運ぶことを考えよう。
このとき、電荷 \(q\) が「された仕事」は、そのまま「位置エネルギー \(U\)」になる。
仕事 = 力 × 距離
$$U = (qE) \times d$$
(力は \(F=qE\) だね)
さあ、この両辺を \(q\) で割ってみよう。
$$\frac{U}{q} = \frac{(qE)d}{q} = Ed$$
左辺の \(\frac{U}{q}\)(1Cあたりの位置エネルギー)って、なんだっけ?
そう、「電位 \(V\)」だ!
(正確には、スタート地点とゴール地点の「電位の差(電圧)」)
$$V = Ed$$
キター!3つ目の公式も、ただの「仕事の計算」から、一瞬で導けたぞ!
おわりに
今日は、「電場」と「電位」という、電磁気学の二大巨頭の「正体」と、「公式」を、アナロジーを使って丸ハダカにしたよ。
まとめ:
1. 電場 \(E\) [N/C]:
\(\to\) 「力」の仲間。(重力 \(g\))
\(\to\) \(F=qE\)。「力」と同じ形 \(\to\) \(E = kQ/r^2\)
2. 電位 \(V\) [J/C]:
\(\to\) 「エネルギー」の仲間。(高さ \(gh\))
\(\to\) \(U=qV\)。「力×距離」の形 \(\to\) \(V = kQ/r\)
3. 一様な電場なら:
\(\to\) エネルギー \(U = Fd = (qE)d\)
\(\to\) 電位(電圧) \(V = U/q = Ed\) \(\to\) \(V = Ed\)
「電場は力、電位はエネルギー(高さ)」
「\(E\) は \(r^2\) 分の、\(V\) は \(r\) 分の」
このイメージさえあれば、もう公式の暗記で苦しむことはないぞ!
それでは次の記事で!

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