ファラデーの電磁誘導の法則とは?マイナスがつく理由は?具体例とともに解説!

サルボルト
サルボルト

ようこそ!サルボルトだよ

今回は、ファラデーの電磁誘導の法則について勉強しよう。

いよいよ「電気」と「磁気」が、本格的に出会うところだ。

「電流を流すと、磁場(磁界)ができる」(右ねじの法則)というのは、アンペールさんが見つけたよね。

じゃあ、その逆、「磁場(磁石)から、電流を作る」ことはできないか?

これを実現したのが、天才実験家ファラデーだ。

「コイルの近くで磁石を動かすと、なぜかコイルに電流が流れる」

この現象を「電磁誘導(でんじゆうどう)」と呼ぶ。

…んだけど、いざテストになると、

「\(V = -N \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}\) … この \(\Phi\) (ファイ) って何だよ!」
「なんでマイナスがつくの?」(レンツの法則)
「フレミングの”右”手だっけ?”左”手だっけ?」

って、記号とルールだらけで大混乱しちゃうんだ。

大丈夫。この記事では、「なぜ、磁石を”動かす”と”電流”が流れるのか」という現象の「気持ち」から、公式の「マイナス」の意味まで、じ〜〜っくり解説するよ!

ファラデーの偉大な「勘違い」

ファラデーは最初、こう考えた。

「電流が磁場を”作る”んだから、強い磁場の中にコイルを”置け”ば、電流が流れるに違いない!」

彼は、強力な磁石の間にコイルを「置いて」、検流計(電流が流れたら針がピクッと動く機械)の針を、じーーーーーっと見つめた。

…しかし、針はピクリとも動かない。

「おかしいな…磁石が足りないのか?」

そう彼が、コイルを磁場から「”どかそう”とした瞬間」

ピクッ!!

検流計の針が、一瞬だけ振れたんだ。

「な、なんだ!?」

慌てて、もう一度コイルを磁場の中に「”入れた”瞬間」

ピクッ!!

今度は、さっきと「逆向き」に、針が振れた。

そして、磁場の中に「置いている」間は、やっぱり何も起こらない。

サルボルト
サルボルト

ファラデーは、この「一瞬」を見逃さなかった。

「わかった!大事なのは、磁場の中に”いる”ことじゃない!」

「コイルの中の、磁場の”様子”が『変化』した瞬間に、電流が流れるんだ!」

この大発見が、今の発電機やモーター、IHクッキングヒーターなんかの、すべての元になっているんだ。

「磁場の変化」をどう測るか? \(\to\) 「磁束」

「磁場の様子が”変化”する」

この、フワッとした言葉を、どうやって「数式」にすればいいだろう?

ファラデーは、「磁力線」という、目に見えない「磁場の強さと向き」を表す”矢印の束”を考えた。

(N極から出て、S極に入る、あの線だね)

そして、コイル(輪っか)の中を、「合計で何本、磁力線が突き抜けているか?」を数えることにしたんだ。

(コイルを貫く磁力線の本数)

この、「コイル(の断面)を突き抜ける、磁力線の”合計本数”」のことを、

「磁束(じそく)」

と呼び、\(\Phi\)(ファイ)[Wb](ウェーバー)という記号で表すことに決めた。

(厳密には、磁場の強さを「磁束密度 \(B\) [T]」と呼び、これに面積 \(S\) [m²] をかけた \(\Phi = BS\) で計算できるけど、今は「本数」ってイメージでOK!)

この「磁束 \(\Phi\)」を使えば、さっきのファラデーの発見は、こう言い換えられる。

「コイルを貫く磁束 \(\Phi\) が『変化』すると、コイルに電圧(起電力 \(V\))が生じる」

さっきの実験を、「磁束」という言葉で解説してみよう。

  • コイルを磁場に入れる瞬間:
    磁束が 0本 \(\to\) 100本 に「増加」した! \(\to\) 電圧が発生!(ピクッ)
  • コイルを磁場に置いている間:
    磁束が 100本 \(\to\) 100本 のまま「変化なし」。 \(\to\) 電圧はゼロ。(シーン…)
  • コイルを磁場から出す瞬間:
    磁束が 100本 \(\to\) 0本 に「減少」した! \(\to\) 電圧が発生!(さっきと逆向きにピクッ)

なるほど!「磁束が”どれだけ”あるか」じゃなくて、「磁束が”どれだけ変化したか”」が大事なんだって、ハッキリわかったね。

公式の組み立て:\(V\) と \(\Delta\Phi\) と \(\Delta t\)

ファラデーは、さらに実験を続けた。

「磁石を、ゆっくり動かす」ときと、「素早く動かす」ときで、電圧(針の振れ)はどう変わるだろう?

結果は、「素早く動かした(=磁束が”急激に”変化した)とき」の方が、針は大きく振れたんだ。

「ゆっくり」動かす \(\to\) 5秒(\(\Delta t = 5\))かけて、磁束が 100本 変化(\(\Delta\Phi = 100\))。
「素早く」動かす \(\to\) 1秒(\(\Delta t = 1\))かけて、磁束が 100本 変化(\(\Delta\Phi = 100\))。

つまり、生じる電圧 \(V\) は、変化した「量」\(\Delta\Phi\) だけじゃなく、「時間」\(\Delta t\) にも関係する。

「1秒あたりの、磁束の変化量」が大きければ大きいほど、電圧も大きくなるんだ。

この「1秒あたりの」っていう割り算の形、見覚えがあるよね。

「速さ \(v = \frac{\Delta x}{\Delta t}\)」 (1秒あたりの位置の変化) と同じだ!

$$V \propto \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}$$

(電圧 \(V\) は、磁束の時間変化率 \(\frac{\Delta\Phi}{\Delta t}\) に比例する)

さらに、コイルの「巻き数 \(N\)」を、1回巻きから、100回巻き(N=100)に増やしてみた。

すると、電圧はなんと100倍になった!

(そりゃそうだ。1回巻きのコイルが「1V」の電池になるなら、それを100個「直列」につないだのと同じだから、100Vになるよね)

これで、比例定数もわかった。全部まとめると、こうなる。

$$V = N \times \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}$$

これが、ファラデーの法則の「大きさ」を表す式だ。

「レンツの法則」:あの “マイナス” の意味

さて、いよいよ大ボスの「マイナス(\(-\))」の登場だ。

教科書には、ファラデーの法則はこう書いてある。

$$V = -N \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}$$

この「マイナス」は、数学的な「0より小さい」っていう意味じゃないんだ。

これは、「”逆向き”に」という意味の、物理的な「向き」を表すマイナスなんだ。

何と逆向きか?

「コイルは、磁束の“変化”“妨げる”向きに、電圧(電流)を発生させる」

という、コイルの「あまのじゃくな性格」を表しているんだ。この「あまのじゃくルール」のことを、発見した人の名前をとって「レンツの法則」と呼ぶ。

サルボルト
サルボルト

「変化」が大好きで、すぐ変化しようとする人類と違って、コイルは「変化」が大キライな「保守派」なんだ。

「今のままでいたい!変わるな!」って、常に抵抗(レジスト)するんだよ。

例題で見てみよう。

「コイル(輪っか)の上から、N極を近づけた」

(コイルにN極を近づける図)

これを「コイル語」に翻訳しよう。

  1. 現状認識:「N極が来た \(\to\) 下向きの磁束 \(\Phi\) が“増えて”いる!」
  2. コイルの決意(レンツの法則):「下向きが増えるのはイヤだ! 変化を妨げたい!」
  3. コイルの行動:「”増えた”分を打ち消すために、自分で“上向き”の磁束を作ってやる!」
  4. 行動の手段:「”上向き”の磁束を作るには…?」(ここで「右ねじの法則」)
    「親指を”上”(磁束の向き)に立てる。すると、残りの4本指は”反時計回り”だ!」
  5. 結論:「”反時計回り”に、誘導電流(電圧)を流そう!」

どう?「マイナス」の意味、わかったかな?

(もし「S極を遠ざけた」ら? \(\to\) 「下向きの磁束が”減って”いる!」 \(\to\) コイル「減るのもイヤだ!現状維持!」 \(\to\) 「”下向き”の磁束を自分で作って”補う”!」 \(\to\) 「親指を”下”」 \(\to\) 「”時計回り”の電流」になるんだ。)

導出:ローレンツ力との関係

「ファラデーの法則」と、もう一つ、電磁誘導で出てくる公式がある。

磁場(磁束密度 \(B\))の中を、導体棒(長さ \(l\))が、速さ \(v\) で動くと、電圧(起電力)が生じる、ってやつだ。

$$V = vBl$$

「なんで \(V = -N\Delta\Phi/\Delta t\) と、\(V=vBl\) の2つも公式があるんだよ!」

…実は、この2つ、「まったく同じこと」を、違う視点で言っているだけなんだ!

\(V=vBl\) の方を、ミクロな視点で見てみよう。

導体棒が「速さ \(v\)」で動くと、棒の中にある「自由電子(電荷 \(-e\))」も、一緒に「速さ \(v\)」で動く。

「磁場 \(B\)」の中で、「電荷」が「速さ \(v\)」で動くと、何が起こるんだっけ?

そう、「ローレンツ力 \(F = qvB\)」を受けるんだ!

(フレミングの”左手”の法則だね。電荷 \(q\) が \(v\) で動く \(\to\) 電流。磁場 \(B\) がある \(\to\) 力 \(F\) を受ける)

電子(\(-e\))が右に \(v\) で動く \(\to\) 電流は「左」向き。
磁場 \(B\) は「奥」向き。
フレミング左手 \(\to\) 力 \(F\) は「下」向き。

(電子はマイナスだから、本当は力が「上」向き。ややこしい!)

とにかく、棒の中の電子が、ローレンツ力によって「上」か「下」のどっちかに片寄るんだ。すると、棒の「上」と「下」で、(+)と(ー)に分かれる。…これって、「電圧」が発生したってことだ!

この「ローレンツ力」こそが、電磁誘導のミクロな正体なんだ。

物理強者向け:\(V = vBl\) から \(V = \Delta\Phi/\Delta t\) の導出

(ここからは、ハイレベルな方には敬語を使います)

導体棒に生じる起電力 \(V\) は、棒の中の電荷 \(q\) が受けるローレンツ力 \(F = qvB\) に基づいて計算されます。

長さ \(l\) の棒の端から端まで、電荷 \(q\) を運ぶ「仕事 \(W\)」は、
\(W = (\text{力}) \times (\text{距離}) = F \times l = (qvB)l\)

「起電力(電圧) \(V\)」とは、「1Cあたりの仕事」のことですから、\(V = W/q\)。

$$V = \frac{(qvB)l}{q} = vBl$$

さて、この「\(V=vBl\)」と、ファラデーの法則「\(V = \Delta\Phi/\Delta t\)」(大きさだけ考える)が、同じであることを示しましょう。

導体棒が、時間 \(\Delta t\) の間に動く距離 \(\Delta x\) は、\(\Delta x = v \Delta t\) です。

このとき、導体棒が「掃(は)いた」面積 \(\Delta S\) は、長方形の面積なので、

$$\Delta S = (\text{タテ}) \times (\text{ヨコ}) = l \times \Delta x = l(v \Delta t)$$

この「新しく増えた面積 \(\Delta S\)」のぶんだけ、コイル(回路全体)を貫く「磁束 \(\Phi\)」が”変化”します。

磁束の変化量 \(\Delta\Phi\) は、\(\Phi = BS\)(磁束密度×面積)ですから、

$$\Delta\Phi = B \times \Delta S = B(lv \Delta t)$$

この式の両辺を、\(\Delta t\) で割ってみましょう。

$$\frac{\Delta\Phi}{\Delta t} = \frac{B l v \Delta t}{\Delta t} = Blv$$

あれ?

ローレンツ力から導いた \(V = vBl\) と、
ファラデーの法則から導いた \(\frac{\Delta\Phi}{\Delta t} = Blv\)

右辺がまったく同じ(\(Blv\))になりました!

したがって、

$$V = \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}$$

が証明されました。(\(N\)回巻きなら、\(N\)倍するだけです)

つまり、「ローレンツ力(ミクロな視点)」も「ファラデーの法則(マクロな視点)」も、同じ電磁誘導という現象の、表と裏だった、ということです。

おわりに

今日のまとめだよ。

1. 電磁誘導は、コイルを貫く「磁束(本数) \(\Phi\)」が「変化」すると起こる。
2. 発生する電圧 \(V\) は、「巻き数 \(N\)」と「変化の激しさ(\(\frac{\Delta\Phi}{\Delta t}\))」で決まる。
3. 発生する「向き」は、「あまのじゃく(レンツの法則)」が決める。「変化を”妨げる”」向きだ。
4. ぜんぶまとめると、\(V = -N \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}\)(マイナスが「妨げる」という意味)
5. ミクロな正体は「ローレンツ力」。\(V=vBl\) も \(V = \Delta\Phi/\Delta t\) も、本質は同じ!

電磁誘導の問題が出たら、慌てずに、「レンツの法則」の翻訳マニュアル(5ステップ)を思い出そう。

「いま、\(\Phi\) は増えてる?減ってる?」
「じゃあ、コイルはどっち向きに抵抗する?」

これができれば、もう何も怖くないぞ!

それでは次の記事で!

コメント