光の分散とスペクトル|虹はなぜ7色?プリズムの仕組みとニュートンの実験

サルボルト
サルボルト

ようこそ!サルボルトだよ

今回は、光の分散(ぶんさん)とスペクトルについて、徹底的に勉強しよう。

雨上がりの空にかかる虹。キラキラ輝くダイヤモンド。
どうして「ただの白い光」が、あんなにカラフルな色に分かれるんだろう?

「プリズムを通すと虹色になるんでしょ?」
そう。でも、物理的に言うと、もっと大事な法則が隠れている。

「実は、色によって『進むスピード』が違う!」

今日は、ニュートンが発見した「光の正体」と、屈折率の不思議な性質について、実験動画を見ながらじ〜〜〜っくり解説していくよ。

第1章:ニュートンの大発見「白は色じゃない?」

昔々、人々は「白い光」こそが最も純粋な光で、色は「汚れ」がついたものだと思っていた。

しかし、アイザック・ニュートンは疑った。
彼は暗い部屋で、小さな穴から太陽の光(白色光)を取り込み、ガラスの三角柱「プリズム」に通してみた。

すると、壁には美しい虹色の帯(スペクトル)が現れたんだ。

引用:Newton’s prism experiment – YouTube

さらにすごいのはここからだ。
ニュートンは、この虹色の光を「もう一つのプリズム(逆向き)」に通してみた。

すると…なんと、光はまた「白い光」に戻ったんだ!

これで証明された。
「白い光は純粋なものじゃない。すべての色の光が混ざり合ったものだったんだ!」

第2章:なぜ色が分かれる?「分散」の仕組み

じゃあ、なんでプリズムを通すと色が分かれるんだろう?

前回の記事「光の屈折」を思い出してほしい。
光が折れ曲がる(屈折する)のは、物質中で「スピードが遅くなるから」だったよね。
(遅くなる度合い=屈折率 \(n\))

実は、ガラスの中では、「光の色(波長 \(\lambda\))」によって、遅くなり具合が違うんだ!

光の波長と屈折率のルール
赤色(波長が長い): あまり遅くならない(\(n\) が小さい) \(\to\) あまり曲がらない
紫色(波長が短い): めちゃくちゃ遅くなる(\(n\) が大きい) \(\to\) 大きく曲がる(急カーブ!)

イメージしよう。
マラソン大会で、みんな一斉に「泥道(ガラス)」に突っ込む。

足の長い人(赤色)は、泥道でもスイスイ進めるから、あまりコースが変わらない。
足の短い人(紫色)は、泥に足を取られてスピードがガクンと落ちるから、大きくハンドルを取られて急カーブしてしまう。

プリズムによる光の分散(赤と紫の屈折の違い)

その結果、みんなバラバラの角度で出てくる。
これが「光の分散(ぶんさん)」だ。

順番は、波長の長い順に、
赤・橙・黄・緑・青・藍・紫
(セキ・トウ・オウ・リョク・セイ・ラン・シ)

「赤は曲がりにくい(信号機と同じで遠くまで届く)」「紫は曲がりやすい」と覚えておこう!

第3章:虹の正体は「水滴プリズム」

空にかかる虹も、原理は全く同じだ。

空気中に浮かぶ無数の「水滴(雨粒)」ひとつひとつが、小さなプリズムの役割をしている。

太陽の光が水滴に入ると、
1. 入るときに屈折(色に分かれる)
2. 水滴の奥で反射
3. 出るときにまた屈折(さらに広がる)

こうして、僕らの目に届くときには、赤と紫が別々の角度からやってくる。
だから、空に大きな色の帯が見えるんだね。

(ちなみに、虹の外側にうっすら見える「副虹(ふくこう)」は、水滴の中で「2回反射」した光だよ。反射の回数が増えると、色の順番が逆になるんだ!)

第4章:スペクトルとフラウンホーファー線

分かれた光の色の帯のことを「スペクトル」と呼ぶ。

このスペクトルを詳しく調べると、ただの虹色じゃないことがわかる。

  • 連続スペクトル: 太陽や電球の光。虹色が途切れなく続く。
  • 線スペクトル(輝線): 花火やネオンサイン。特定の色(波長)だけがピカッと光る。
    (これは、原子が出す特有のサインだ。ボーアモデルの記事でやったね!)
  • 吸収スペクトル(暗線): 連続スペクトルの途中に、黒い線が入る。
    (途中のガスが、特定の光だけを「横取り(吸収)」した証拠だ)

太陽のスペクトルをよーく見ると、無数の黒い線(フラウンホーファー線)が入っている。
これは、太陽の表面にあるガスが、特定の光を吸収しているからなんだ。
これのおかげで、太陽に行かなくても「太陽にどんな成分があるか」がわかるんだよ。すごくない?

物理強者向け:最小偏角とコーシーの公式

(ここからは、ハイレベルな方には敬語を使います)

プリズムによる光の屈折角(偏角 \(\delta\))を計算しましょう。
頂角 \(A\) のプリズムに、入射角 \(i\) で入った光が、屈折角 \(r’\) で出ていくとします。

幾何学的に計算すると、偏角 \(\delta\) は、
\(\delta = i + r’ – A\)
となります。

この \(\delta\) が最小になる(最小偏角 \(\delta_{min}\))のは、光がプリズムの中を対称に進むとき(\(i = r’\))です。
このとき、屈折率 \(n\) は以下の式で求まります。

$$n = \frac{\sin \frac{A + \delta_{min}}{2}}{\sin \frac{A}{2}}$$

この式から、\(\delta_{min}\) が大きいほど、\(n\) が大きいことがわかります。

では、なぜ波長 \(\lambda\) が短いと \(n\) が大きくなるのでしょうか?
これは経験的に「コーシーの分散公式」として知られています。

$$n(\lambda) = A + \frac{B}{\lambda^2} + \frac{C}{\lambda^4} + \dots$$

(\(A, B, C\) は物質ごとの正の定数)

\(\lambda\) が分母にあるため、波長 \(\lambda\) が小さくなる(紫)ほど、第2項以降の値が大きくなり、屈折率 \(n\) が増大します。
これが、紫色の光が大きく曲がる数学的な理由です。
(微視的には、物質内の電子の固有振動数と光の周波数の共鳴現象(ローレンツモデル)によって説明されます)

おわりに

光の分散、どうだったかな?

まとめ:
1. 白い光は、いろんな色のミックスジュース。
2. 屈折率 \(n\) は、光の色(波長)によって違う。
3. 波長が短い(紫)ほど、進みにくくて大きく曲がる
4. 波長が長い(赤)ほど、スイスイ進んであまり曲がらない

次に虹を見たら、「お、雨粒の中で紫の光が急ブレーキをかけてるな」と思い出してくれ!

それでは次の記事で!

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