コイルとは?電流を妨げる性質や自己インダクタンスを一挙解説!

サルボルト
サルボルト

ようこそ!サルボルトだよ

今回は、コイル(インダクター)について勉強しよう。

「コンデンサー」と並んで、回路図に出てくると「うわっ」ってなる部品の代表格だ。

コンデンサーの正体は「2枚の板」だったけど、コイルの正体はもっとカンタン。

ただの「導線をグルグル巻いたもの」だ。

「え、ただの導線じゃん。ショートしてるのと何が違うの?」

そう思うよね。キミの感覚は正しい。直流(電池)にとっては、コイルは「ただの導線」と、ほぼ同じだ。(厳密には、導線のぶんだけ少し抵抗があるけどね)

でも、コイツが真価を発揮するのは、「電流が”変化”しようとした瞬間」。

コンデンサーが「電圧をためる」「電圧の変化をジャマする」部品だったのに対し、

コイルは、「電流の変化を”妨げる”(ジャマする)」という、超あまのじゃくな性質を持っているんだ。

今日は、「なぜ、コイルは電流の変化をジャマするのか?」という、コイツの「あまのじゃくな性格」の正体から、公式(\(V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}\))の意味、そして蓄えるエネルギー(\(U = \frac{1}{2}LI^2\))の導出まで、全部じ〜〜っくり解説するよ!

コイルの「性格」:あまのじゃく

まずは、コイルがどんな「あまのじゃく」なのか、その振る舞いをくどいほど見てみよう。

コイルに電池(直流)を繋いで、スイッチを入れた瞬間を考える。

  • 普通の抵抗なら、スイッチONで、瞬時に(オームの法則で決まる)「10A」とか、決まった電流が流れる。グラフは「カクン」と垂直に立ち上がる。
  • コイルは違う。スイッチONで「よーし、10A流すぞ!」と電流が流れ“始めよう”とすると…
  • コイル:「待て待て!急に流れるのはイヤだ!(現状維持!0Aのままでいたい!)」と抵抗し、電流が流れるのをジャマする。
  • その結果、電流は「0A」から「10A」まで、「じわ〜〜〜〜っ」としか増えていけないんだ。

じゃあ、次に、ずーっと10A流れていたのに、スイッチをOFFにしたら?

  • 普通の抵抗なら、スイッチOFFで、瞬時に「0A」になる。
  • コイル:「おい待て!俺はまだ10A流していたいんだ!急に止まるのはイヤだ!(現状維持!10Aのままでいたい!)」と抵抗し、電流を“流し続けよう”とする。
  • その結果、スイッチを切ったのに、一瞬だけ「バチッ!」と火花が飛んだり(行き場を失った電流が空気を切り裂く!)、電流がじわ〜っと流れ続けようとしたりするんだ。

この「じわ〜」がポイントだ。とにかく「急激な変化」がキライなんだ。

まとめると、コイルの性格は、

コイルの性格(あまのじゃく・保守派)
・電流が「増えよう」とすると(変化!) \(\to\) 「減らす」向きにジャマする。(現状維持!)
・電流が「減ろう」とすると(変化!) \(\to\) 「維持する」向きにジャマする。(現状維持!)

\(\to\) つまり、常に「”変化”を打ち消す」向きに、ジャマをするんだ。

あまのじゃくの正体:「自己誘導」

なんで、コイルはこんな「あまのじゃく」な性格なんだろう?

その秘密は、グルグル巻かれた「形」と、前回の記事でやった「ファラデーの電磁誘導の法則」にある。

(もし、「ファラデーの法則」や「磁束 \(\Phi\)」、「レンツの法則(あまのじゃくルール)」が怪しかったら、そっちの記事を先に読んでね!)

ステップバイステップで見ていこう。

  1. コイルに「電流 \(I\)」が流れる。(例えば、スイッチONで 0A \(\to\) 10A に増えようとする)
  2. 「電流」は「磁場」を作るよね?(アンペールの右ねじの法則)
    コイル(=電磁石)は、自分自身の電流で、自分の中に磁場(磁力線)を作る。
  3. コイルを貫く磁力線の本数、つまり「磁束 \(\Phi\)」が生まれる。この磁束の強さは、もちろん電流 \(I\) が強いほど強い。(\(\Phi\) は \(I\) に比例する)
  4. ここで、電流 \(I\) が「変化」する(0A \(\to\) 10A に増えようとする)と、どうなる?
  5. 電流 \(I\) に比例していた「磁束 \(\Phi\)」も、「変化」するよね!(0本 \(\to\) 100本 に増えようとする)
  6. さあ、ここで「ファラデーの電磁誘導の法則」と「レンツの法則」の出番だ。
    「コイルは、自分を貫く磁束が“変化”すると、その“変化を妨げる”向きに、”電圧”(起電力)を生じる」

…わかったかな?

コイルは、「自分自身の電流の変化」によって、「自分自身で磁束を変化」させ、その結果(レンツの法則により)、「自分自身の電流の変化をジャマする向きに、”逆”電圧を発生させる」んだ!

まるで、自分で自分のシッポを踏んで、「痛い!」って叫んでるみたいだ。

この、壮大な一人芝居のことを、

「自己誘導(じこゆうどう)」

と呼ぶんだ。これが、コイルの「あまのじゃくな性格」の正体だ。

サルボルト
サルボルト

スイッチONで電流が増えようとすると、コイルは「磁束が増えるのはイヤだ!」と、”増えるのを打ち消す” 向き(=元の電流と逆向き)に電圧(逆起電力)を作り、電流を流れにくくする。

スイッチOFFで電流が減ろうとすると、コイルは「磁束が減るのはイヤだ!」と、”減るのを補う” 向き(=元の電流と同じ向き)に電圧を作り、電流を流し続けようとする。

ほら、完璧にあまのじゃくだ!

コイルの「性能」:\(L\)(自己インダクタンス)

じゃあ、この「あまのじゃく度合い」は、どうやって測ればいいだろう?

「ちょっと電流を変化させただけ」で、メチャクチャ「大きな逆電圧」を生み出すコイルは、「あまのじゃく度合いが強い」と言えるよね。

この、「あまのじゃく度合い」(=自己誘導の起こしやすさ)を表す「性能」のことを、

「自己インダクタンス(Self-Inductance)」

と呼び、\(L\) [H](ヘンリー)という記号で表す。

この\(L\)は、コイルの「巻き数」や「長さ」「太さ」「(中に鉄心を入れるか)」だけで決まる、コイル固有の「性能値」だ。(コンデンサーの「電気容量 \(C\)」みたいなもんだね)

さあ、ファラデーの法則 \(V = -N \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}\) を、この \(L\) を使って書き換えてみよう。

まず、コイルを貫く「全磁束(\(N\Phi\))」は、電流 \(I\) が強いほど強くなる「比例」の関係にあった。

$$N\Phi \propto I$$

この比例関係の「比例定数」こそが、「あまのじゃく度合いの性能値 \(L\)」だと、人間が決めたんだ。

$$N\Phi = LI$$

(\(L\)が大きいコイルほど、ちょっとの電流 \(I\) で、たくさんの磁束 \(N\Phi\) を作れる、”効率のいい”電磁石だ、ってことだね)

この \(N\Phi = LI\) の両辺の「変化量(\(\Delta\))」を「時間(\(\Delta t\))」で割ってみよう。

$$\frac{\Delta (N\Phi)}{\Delta t} = \frac{\Delta (L I)}{\Delta t}$$

\(L\) は「性能値」で変化しない(定数)だから、\(\Delta\) の外に出せる。

$$\frac{\Delta (N\Phi)}{\Delta t} = L \frac{\Delta I}{\Delta t}$$

ここで、ファラデーの法則 \(V = -N \frac{\Delta\Phi}{\Delta t}\)(\(N\)回巻きだから \(\Delta(N\Phi)\))を思い出すと、

左辺は、\(V\)(コイルが生み出す逆起電力)の「マイナス」を外したものだ!

$$|V| = L \frac{\Delta I}{\Delta t}$$

(向きもちゃんと書くなら、\(V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}\))

キター!これが、コイルを特徴づける、一番大事な式だ。

コイルの基本式: \(V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}\)
(コイルに生じる逆電圧 \(V\) は、)
(性能 \(L\) と、電流の”変化の激しさ”(\(\frac{\Delta I}{\Delta t}\))に、比例する)
(マイナスは「変化を妨げる(あまのじゃく)」向き、という意味)

(もし電流が「一定」なら、\(\Delta I = 0\) だから、\(\frac{\Delta I}{\Delta t} = 0\)。だから電圧 \(V=0\)。ほら、直流では「ただの導線」だ!)

コイルが蓄えるエネルギー \(U = \frac{1}{2}LI^2\)

コンデンサーは、電荷を蓄えることで「静電エネルギー \(U_C = \frac{1}{2}CV^2\)」を蓄えた。

コイルは、「電流を流す」ことで、「磁気エネルギー」を蓄えるんだ。

「え、ただの導線なのに?」

そう。でも、その「電流を流す」までが、大変だったよね?

スイッチONの瞬間、コイルは「流すな!(\(V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}\))」と逆電圧(逆起電力)で抵抗してきた。

電池(電源)は、この「逆電圧」に逆らって、無理やり電流を「じわ〜」っと流し込まないといけない。

電源が「逆電圧に逆らって、無理やり”仕事”をした」ぶんだけ、その仕事(エネルギー)が、コイルに蓄えられるんだ!

「コンデンサー」のエネルギー(\(U_C = \frac{1}{2}QV\))を導いたときと、まったく同じロジックが使えるぞ。

コンデンサーは、「\(q-V\)グラフ」の面積(三角形)だった。(電圧 \(v\) が \(0 \to V\) にじわじわ上がったから)

コイルは、「\(I-\Phi_N\)グラフ」(電流 \(I\) と 全磁束 \(N\Phi\))のグラフを考えてみよう。

\(N\Phi = LI\) の関係(比例)があるから、やっぱり「原点を通る直線」だ。

(微小な仕事 \(dU\) = 運ぶ電荷 \(dq\) × 逆らった電圧 \(V\)。
\(I = dq/dt\), \(V = d(N\Phi)/dt\) を使うと… \(dU = I d(N\Phi)\) になるんだ!)

つまり、コイルに蓄えられるエネルギー \(U_L\) は、
「\(I – N\Phi\) グラフの面積(三角形)」になる!

最終的に電流が \(I\) になったとき、全磁束は \(N\Phi (=LI)\) になっている。

この「三角形」の面積は、

$$U_L = \frac{1}{2} \times (\text{底辺 } I) \times (\text{高さ } N\Phi)$$

$$U_L = \frac{1}{2} I (N\Phi)$$

これが、コイルのエネルギーの基本形だ!(コンデンサーの \(U_C = \frac{1}{2}QV\) と形がそっくり!)

ここに、\(N\Phi = LI\) を代入すれば、

$$U_L = \frac{1}{2} I (LI) = \frac{1}{2}LI^2$$

ほら!あの公式が出てきた!

物理強者向け:積分による導出

(ここからは、ハイレベルな方には敬語を使います)

コイルに電流 \(i\) を流すために、電源が「単位時間(1秒)あたり」にする仕事(=仕事率 \(P\))を考えます。

コイルには、電流の変化を妨げる向きに、\(V = -L \frac{di}{dt}\) の逆起電力が発生しています。
(\(i\) は、時刻 \(t\) の関数としての「瞬時電流」)

電源は、この逆起電力 \(-V\)(大きさ \(L \frac{di}{dt}\))に打ち勝って、電流 \(i\) を流さなければなりません。

よって、電源がする仕事率 \(P\) は、\(P = (\text{打ち勝つべき電圧}) \times (\text{電流}) = (-V) \times i\)

$$P = \left( L \frac{di}{dt} \right) \times i = Li \frac{di}{dt}$$

この「仕事率 \(P\)」を、時間 \(t=0\) から \(t=T\) まで積分(足し合わせる)したものが、その時間までに電源がした「総仕事 \(W\)」、すなわちコイルに蓄えられた「エネルギー \(U_L\)」です。

$$U_L = W = \int_{0}^{T} P dt = \int_{0}^{T} \left( Li \frac{di}{dt} \right) dt$$

ここで、積分変数を \(dt\) から \(di\) に置換します。(\(di = \frac{di}{dt} dt\))

時刻 \(t=0\) で \(i=0\)、時刻 \(t=T\) で \(i=I\)(最終的な電流)になったとすると、

$$U_L = \int_{0}^{I} (Li) di$$

\(L\) は定数なので、積分の外に出ます。

$$U_L = L \int_{0}^{I} i \ di$$

\(i\) の積分は \(\frac{1}{2}i^2\) ですから、

$$U_L = L \left[ \frac{1}{2}i^2 \right]_{0}^{I} = L \left( \frac{1}{2}I^2 – 0 \right)$$

$$U_L = \frac{1}{2}LI^2$$

これは、コンデンサーのエネルギー \(U_C = \int_{0}^{Q} v dq = \int_{0}^{Q} (\frac{q}{C}) dq = \frac{Q^2}{2C}\) の導出と、完全に対応(双対)しています。

おわりに

今日は、コイルの「あまのじゃくな性格」の正体から、エネルギーの公式まで、全部暴いたよ。

まとめ:
1. コイルは「電流の変化」をジャマする、あまのじゃく。
2. 正体は「自己誘導」。自分で作った磁束を、自分で変化させて、自分で逆電圧(逆起電力)を生む。
3. コイルの基本式:\(V = -L \frac{\Delta I}{\Delta t}\)(マイナスは「ジャマする向き」)
4. 電源が「逆起電力」に逆らってした仕事が、エネルギーとして蓄えられる。
5. コイルのエネルギー:\(U_L = \frac{1}{2}LI^2\)(\(\frac{1}{2}I(N\Phi)\) が基本形)

コンデンサー(\(C, V, Q\))と、コイル(\(L, I, \Phi\))は、非常によく似た「双子」のような関係なんだ。この「対応」を意識すると、電磁気は一気にオモシロくなるぞ!

さあ、次回は、この「コンデンサー」と「コイル」を、あの「交流電源」に繋いで、ラスボス「交流・共鳴」を倒しにいこう!

それでは次の記事で!

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